Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
「どうじゃ見たか。スン台武士のお歴々。弓はこうスて射るものぞ。アハハハ。江戸旗本にはな、この早乙女主水之介のごとき弓達者が掃くほどおるわ。のちのちまでの語り草にせい」
途端!――不意です。
隊長らしいあのいち人が目配せもろ共さッと一同を引き具して主水之介の身辺近くに殺到すると、突然鋭く叫んで言いました。
「隠密じゃッ。隠密じゃッ。やはり江戸隠密に相違あるまい。素直に名乗れッ」
「なに!」
まことに意外とも意外な言葉です。主水之介はにったり微笑すると泰然として問い返しました。
「なぜじゃ。身共が江戸隠密とは何を以て申すのじゃ」
「今さら白を切るなッ。千種屋に宿を取ったが第一の証拠じゃ。あの宿の主人こそは、われら一統が前から江戸隠密と疑いかけて見張りおった人物、疑いかかったその千種屋にうぬも草鞋をぬいだからには、旗本の名を騙る同じ隠密に相違あるまいがなッ」
「ほほう、左様であったか。あれなる若者、何かと心利いて不審な男と思うておったが、今ようやく謎が解けたわい。なれど身共は正真正銘の直参旗本、千種屋に宿を取ったは軒並み旅籠が身共を袖にしたからじゃ。隠密なぞと軽はずみな事呼ばわり立てなば、あとにて面々詰め腹切らずばなるまいぞ。