Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

「ウフフ。陰にこもったことを申しておるな。怪我をせぬように、御無事で帰るようにとは、ほんのりとキナ臭い匂いが致して、兄ながら只ではききずてならぬ申し条じゃ。では、々に乗り物の用意せい」

すっくと立ち上がったのを、

「いえ、あの、ちょッとお待ち下せえまし」

慌てて何か不安げに呼びとめたのは峠なしの権次でした。

「御出かけ遊ばしますのは、御二人きりなんでごぜえますか」

「元よりそちも一緒じゃ。今になって怖じ毛ついたか」

「どう仕りまして。ここらが峠なしの権次、命の棄て頃と存じますゆえ、一緒に来るなとおっしゃいましても露払いに参る覚悟でごぜえますが、三人きりでは少うし――」

「少し何じゃ。門弟共の数でもが多いゆえ、三人きりでは人手不足じゃと申すか」

「いいえ、弟子や門人達なら、三十人おろうと五十人おろうと、殿様のその眉間傷が一つあったら結構でごぜえますが、道場主番五郎のうしろ楯にちょッと気になるお方がおいでのようでごぜえますゆえ、うっかり乗り込んで参りましたら、いかな早乙女の御前様でも事が面倒になりやしねえかと思うんでごぜえます」

「ほほう、番五郎の黒幕にまだそのような太夫元がおると申すか。