Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

早う通りぬけい!」

ギイギイとひそやかに土左船がろべそを鳴らしながら、漕ぎ去っていったのを見すますと、さも退屈そうに、長々と伸びをしながら、吐き出すように主水之介が言ったことでした。

「面白うない。京弥、そろそろ罷帰るかのう。精進日という奴じゃ。土左船に出会うようでは釣れぬわい。ウフフフ。主水之介の眉間傷も小魚共には利き目が薄いと見ゆるよ」

「はッ。御帰館との御諚ならば立ち帰りまするでござりますが、釣れぬのは――」

「釣れぬのは何じゃ」

「水死人ゆえでも、御眉間傷の利き目が薄いゆえでもござりませぬ。冬の夜釣りがそもそも時はずれ、ましてやタナゴ釣りは陽のあるうちのもの、いか程横紙破りの御好きな御殿様でござりましょうとも、釣れる筈のない時に釣れる道理はござりませぬ」

「わははは。身共を横紙破りに致したは心憎いことを申す奴よのう。眉間傷も曲っておるが、主水之介はつむじも少々左ねじじゃ。馬鹿があってのう」

「は?」

「昔のことよ。昔々大昔、馬鹿があってのう。箒で星を掃き落とそうとしたそうじゃ。ウフフフ。主水之介もその馬鹿よ。釣れても釣れのうても釣りたくなると釣って見たいのじゃ。