Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
の黒い影が早駕籠らしいものを一挺取り囲みまして、逃げるように立去ったそのあとに、ほら――ごらん下さりませ。この脇差とこんな手紙が落ちていたのでござります。他人の親書を犯してはならぬと存じましたゆえ、中味は改めずにござりまするが、手紙の方の上書には京弥どのの宛名があり、これなる脇差がまた平生京弥どののお腰にしていらっしゃる品でござりますゆえ、それこれを思い合せまして、もしや何か身辺に変事でもが湧いたのではあるまいかと存じ、日頃京弥どののお立廻りになられる個所を手前の記憶している限り、いちいち人を遣わして念のために問い合せましたのでござりますが、どこにもお出廻りなさった形跡がござりませぬゆえ、どうした事かと同役共々に心痛している次第にござります」
「ほほう、それゆえわしの留守宅にも、問い合せのお使いが参ったのじゃな。では、念のためにそれなる往来へおちていたとか言う二品を一見致そうぞ。みせい」
手に取りあげて見調べていましたが、脇差はとにかくとして、不審を打たれたものは手紙の裏に小さく書かれてあった、菊――と言う女文字です。
「はてな――?」
愛妹の菊路ではないかと思われましたので、ばらりと中味を押しひらいて見ると、取急いだらしい短い文言が次のごとくに書かれてありました。