Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

――同時です。凄惨と言うか、悲惨というか、浅ましさおぞましさ言いようがない。わッと言う矢声もろ共、犇めきわめきながら殺到すると、押しのけはねのけ、揉み合いへし合いながら、われ先にと小判の道へ雪崩れかかりました。

しかし、たった四人だけ、拾おうともしないのがいるのです。あちらにひとり、こちらにひとり、向うに二人、呆然と佇んで、虫けらのようにうごめき争っている人々を見守っている四人の姿が見えるのです。

早くもそれと知るや、莞爾として退屈男が打ち笑うと、会心そうに命じました。

「浅ましい奴等に用はない。京弥、あの四人の者こそわが意に叶うた者じゃ。早う座敷にあげい」

「………」

「何をぼんやりしておるぞ。ぜひにも二人三人手が要るゆえ、一両を餌にして人足共を狩り集めたのじゃ。小判を投げたは早乙女流の人選みよ。欲破り共のうちからせめてもの欲心すくなき者を選み出そうと、わざわざ投げて拾わしてみたのじゃ。あの四人には見どころがある。余の亡者には用がないゆえに早々に追ッ払って、あの者共早う召し連れい」

「いかさま、左様でござりましたか。そうのうてはなりませぬ。御深慮さすがにござります」