Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
五
「さ、行けッ。行けッ。今そち達が行って帰ったばかりの曲輪へ参るのじゃ、威勢よく飛んで行けッ」
五
かくして乗りつけたところは、粋客嫖客の行きも帰りも悩みの多い、吉原大門前です。無論もう客止めの大門は閉じられていましたが、そこへ行くと三とせ越しのお顔が物を言うのだから叶わない。
「早乙女主水之介、また罷り越すぞ」
会所の曲輪役人共を尻目にかけながら、ずいとくぐりぬけて、さっさと登っていった家は意外と言えば意外ですが、先程宵のうちに待ち伏せていて、恋慕の口説を掻きくどいたあの散茶女郎水浪のいる淡路楼でした。
喜び上がったのは無論水浪です。小格子女郎のところへなぞはどう間違ったにしても、舞い降りて下さる筈もないお直参の旗本が、それを向うから登楼したので、悉く思い上がりながら仇めかしく両頬を紅にぽっと染めて、ふるいつくように言いました。
「ま! よう来てくんなました。では、あの、わちきの願いを叶えて下さる気でありいすか」
「まてまて。叶える叶えないは二の次として、ちとその前に頼みたい事があるが、聞いてくれるか」
「ええもう、主さんの事ならどのようなことでも――」
「左様か、かたじけない、かたじけない。