Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
将軍家のお顔いろは、果然軟らぎました。
「では、治右の申せし事、その方はみな偽りじゃと申すか」
「御意にござります。どのようなことどもお耳へ入れ奉ったかは存じませぬが、早乙女主水之介も三河ながらの由緒ある旗本、恐れながら上、御寵愛のお部屋様ときくも憚り多い不義密通なぞ致すほど、心腐ってはおりませぬ。すべて腰本治右の企らみましたるつくりごと、御賢察願わしゅうござります」
「でも治右は、その方がささに酔いしれて、紋にたわむれかけたと申しおるぞ」
「以ってのほかの讒言、みなこの早乙女主水之介を罪ならぬ罪に陥し入れようとの企らみからでござります。上も御承知遊ばす通り、あの者はもと卑しき黒鍬上がり、権に驕って、昨今の身分柄もわきまえず、曲輪の卑しきはした女に横恋慕せしが事の初まりにござります。小芳と申すその女、他へかしずきしを嫉んで、あるまじき横道しかけましたを、はからずも主水之介、目にかけまして力となったが治右には目ざわり、あろうことかあるまいことか、上、御寵愛のお紋の方様をそそのかし、場所も言語同断の伝通院へこのわたくしを招き寄せ、ささのたわむれ、お膝のたわむれ、申すも恐れ多い御振舞い遊ばされたのでござります」