Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
十五郎です。
うれしかったのです。とるに足らないと思っていた自分の妹風情の恋の倖せが、天下将軍じきじきのお裁きで、執拗な邪悪の手から救われたことのよろこびが、頑丈なその胸をくい破ったのです。
「うれしいか、十五郎」
将軍家をお見送りおわると、主水之介の目はこのもしげに十五郎をうながしました。
「そのよろこび、早う妹へ伝えてつかわせ。われらもともに引上げようぞ。――京弥。お胸前!」
「はッ」
陸尺共がおきすてて逃げたお胸前を捧げて京弥が先頭に――。
ぴたり、よりそって菊路。それから退屈男、十五郎――。
月が出た。人の心を明るくさわやかにそそるように、屋並の向うからさしのぼった月の光の中を明るい影が動いて行きました。