Japanische Klassiker mit Furigana
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はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
にひらひらと泳いでいるのが見えながら、たやすく魚の方で対手になってくれないのです。
「わはははは、憎い奴じゃ。憎い奴じゃ。細い奴が天下のお直参をからかいおるわい。のう、駕籠屋、駕籠屋、こうならば身共も意地ずくじゃ、刀にかけても一匹釣らねばならぬ。折角これまでお供してくれたが、もう乗物は要らぬぞ」
「へ?……」
「へではない。このあんばいならば二三日ここを動かぬかも知れぬゆえ、もう駕籠に用はないと申すのじゃ。ほら、酒手も一緒につかわすぞ。早う稼ぎに飛んで行け」
おどろいたのは街道稼ぎの裸人足共でした。呑気というか、酔狂というか、板についたその変人ぶりにあきれ返って立ち去ったのを、しかし退屈男は至っておちつき払いながら、本当に釣れるまでは二日かかろうと三日かかろうと、一歩もここを動くまいと言わぬばかりで、次第に怪しく冴えまさって来た双の目をキラキラ光らせながら、しきりに小ハヤのあとを追い廻しました。――その最中。パッカ、パッカと街道のうしろから近づいて来たのは、どうやら駿馬らしい蹄の音です。釣に心を奪われているかに見えたが、さすがに武人の嗜みでした。
「ほほう、なかなかの名手じゃな」