Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
はたもとたいくつおとこ
旗本退屈男
佐々木 味津三
Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme
「控えろ。笑止がましい大言を申しおるが、その方共はあれなる鎧に生血の垂れおるを存じおるか」
「えッ?」
「それみい! それ程ののぼせ方で、主水之介に酔狂呼ばわりは片腹痛いわ」
にわかにうろたえ出した町役人共を尻目にかけて、怪死を遂げた古高新兵衛の骸に近よりながら、先ず鉄扇で打たれた脇腹を打ち調べてみると、然るにこれがますます不審です。当然そこが血の出所でなければならぬと思われたのに、肝腎な脇腹には一向それらしい傷跡すらも見えなくて、全然予想以外の丁度鞍壺に当る内股のところから、それも馬乗り袴を通して、べっとりと疑問の生血が滲み出ていましたので、愈々いぶかりながら見調べると、事実はますます出でてますます不思議! 生々と血の垂れ滲み出ているその傷口が、袴の外から何物かに、あんぐりと噛み切られでもしたかのような形をしていましたので、主水之介の目の鋭く光ったのは当然でした。
ただちに馬の鞍壺を見改めると、愈々出でて愈々奇怪!――思うだにぞっと身の毛のよだつ毒毒しい生蛇が、置き鞍の二枚皮の間から、にょっきりと鎌首を擡げていたのです。しかも、それが只の毒蛇ではなく、ひと噛みそれに襲われたならば、忽ち生命を奪われると称されている大島産の恐るべき毒蛇金色ハブでしたから、いかな退屈男も、これにはしたたかぎょっとなりました。