Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はたもとたいくつおとこ

旗本退屈男

佐々木 味津三

Lesen Sie 旗本退屈男 (はたもとたいくつおとこ) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 240.656 Zeichen · 478 Bildschirme

Aozora Bunko

であることは、一目にして瞭然でした。

然るに、それなる十人の者どもが、殊のほか不審でした。ぐるりと車座になっていましたので、聞いて来た通り、丁半開帳の最中ででもあるかと思いのほかに、中間六松をのぞいての九人の者が、何をこれからどうしようというのか、いずれも腰の業物を抜きつれて、各自それぞれに刀身へ見入りつつ、見るから妖々とした殺気をそこにみなぎらしていましたので、退屈男のいぶかしく思ったのは当然、いや、より以上に打ちおどろいたのは、十人の面々でした。ぎょッとたじろいだようにいずれも面をあげて、一斉に退屈男の上から下を見あげ見おろしていましたが、中なるひとりが早くもあの額際のぐっと深く抉られた三日月形で気がついたものか、その顔を蒼めて言い叫びました。

「さては、早乙女主水之介じゃな!」

しかし、退屈男は無言でした。黙然と両手を懐中にしたままで、じっと九人の者を静かに只にらめすえたばかり――。

とみて、苛立ったごとくに、いな、むしろ、無言のその威嚇に不気味さが募りまさったもののごとくに、甚之丞がじろじろと今迄見改めていた強刀を引きよせると、同じく唇まで蒼めながら叫びました。