Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
食器はフライパン(飯盒の蓋)の柄に環や穴(匙にもフォークにも、柄の末端に穴があけてある)によって通せるように出来ているので、それ等すべてを熱湯に入れて消毒する。それから台所へ行って食器を差出すと、大きな鍋を横に置いた料理当番が、無造作に食物を入れてくれる。この日は兵隊語で「馬の何とか」――この「何とか」は分っているが、英語にせよ日本語にせよ、書いたり印刷したり話したりしない方がいいと思う――と称する大型ソーセージの薄い輪切二、三片とその添物のザワクラウト、ベーコンと豆、玉蜀黍、それにバタをゴテリと叩きつけたパン一片――パンは「たった一片でいいのかい。もっと食いなよ」と当番がいったが、一つで十分だというと、その上に木匙でバタを塗るのでなく山盛一ぱいのせてくれた――最後にパイナップルを、これまた、あれよあれよという間もなく、十枚近く入れてくれた。それから冷したお茶。それを持って、食堂にあてられたテントへ行き、空席に腰を下して食事をした。
だいぶん後でG中尉にこの時のことを話したら、「馬の何とか」で腹をかかえて笑ったあげく、そんなことをしたのかと、若干驚いていた所から察すると、捕虜が米軍の食堂で米兵と同じ物を食うなんてことは、よしんば禁止事項ではないにしても、よほど珍しいことであるらしい。