Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
坑夫
それが米人であろうと、比島人であろうと、日本人であろうと、とにかく人間である以上は、同様だろうと思う。ハッピイのことだから、馬や犬に対しても、同じ感情を持っているとしても、僕は驚かない。
坑夫
アパリ仮収容所の、入口に一番近いテントには、邦人婦女子が寝起きしていた。晩方など、用のない米兵が遊びに来て、小さい子供にバナナやチョコレートをやったりする。比島兵は柵外の警備、米国兵も遊びに来てはいけないことになっていたのだが、とにかく入口のすぐ右手にテントがあるので、三々五々、入って来ては、何だかんだと賑やかに騒ぐものもあった。
ところが、いつからともなく、晩の六時頃になるときまって入口にしゃがんで、子供たちの方をじーっと見ている兵隊のいるのに、僕は気がついた。いかにも精悍な感じの中年男で、誰とも口を利かず、いつもひとりきりでしゃがんでいる。何か腹を立てているのかと思った程である。
ある晩、用があって入口の近くを通りかかると、その兵隊が僕に声をかけた。向うがしゃがんだままなので、僕もしゃがみこむと「あの子にバナナをやりたいとおもって持って来たんだが、呼んでくれないか」