Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
P
仕事が終って使役兵は上陸したが、僕はさらに東海岸へ行くことになった。たった一人だから Ten-in-one をあけるまでのこともない、軍艦の食事をすればいいということで、三度三度ARが食事を甲板に持って来てくれた。B中尉がそうきめたのか、ARが自分で仕事を買って出たのか、そこは分らないが、何ということなしに、ARは僕の世話係みたいになった。朝などきまって僕のねている前甲板の船艙の天窓から「イシ、チャウ〔メシ〕!」と声をかける。余計なことはまったく喋舌らずしかもちゃんちゃんとすることはしてくれた。
P
Pというドイツ系の名を持つもう一人の水兵長も、どういう訳か、とてもよくしてくれた。そして、ARと同じように、細君のことや家庭のことは、いっさい喋舌らなかった。陸軍にくらべて、年が多いせいか、あるいはこれが海軍の伝統なのか、とにかく陸軍の兵隊がすぐに細君や恋人の話をするのとはだいぶん違っている。
Pは大きな男で、何かいってはニヤリと笑う癖があった。そして、一体に僕と何等かの交渉があった米国の兵隊は、みんな親切だったが、Pはまったく何故か知らぬが、特に親切にしてくれた。