Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
カシグラン
すると左手に、まっかな夕焼の空を背景に、富士山よりも、もうすこし鋭い斜面を持つ、完全な円錐形の山が見えた。「ああ、マヨン火山だ」と僕はすぐ気がついた。マヨンが左手に見えるとすると、いつの間にかルソン島の南端を廻って、北上していることになる。「あれがマヨンだ。あれは活火山だ」と話し合っている水兵や陸軍の兵隊と一緒に、しばし僕は舷側によりかかって、この美しい、あまりに形が整い過ぎた山を眺めた。まったく、敗戦のおかげで、山岳州を歩き廻り、大密林の中に住み、今度は名山、マヨンまで見ることが出来たのである。そうでなかったら、僕の比島生活は、マニラだけで終ったことであろう。
カシグラン
ルソン島の地図を御覧になると、東海岸のほぼ中央に非常に長い岬が、まるでフィヨルドか何かのように、南北に走っているのに注意されるであろう。サン・イルデフォンソ岬といい、その一番奥にあるのがカシグランである。我々は波のまるでない湾内を静かに航行して、朝早くカシグランについた。両側は密林が海にせまり、正面には白い砂浜が見える。海水は極めてきれいで、底の砂も見える。それはいいのだが、すごい遠浅で、吃水の浅い上陸用舟艇も、どうにもならんようになってしまった。