Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
「私はここで家を持ち、赤坊が生れたが、すぐ死んだので、ここの墓地にうめてあります。ここにいる間に一度墓参りをしたいと思うのですが、許してはくれないでしょうか。聞いて下さいませんか」
承知しましたと答えたものの、いかにお墓参りとはいえ、収容所から外に出ることは、常識的に考えても困難である。それに米軍側があまりよくしてくれるので、甘えるように思われるのも心苦しく、僕はしばらくそのままにしておいたが、十月もなかばを過ぎ、どうやら移動がありそうな気配になったので、ある日G中尉に聞いてみた。すると考えていたこととは全く反対に、それでは兵隊をつけてやるから、今すぐ行くようにいい給えとのことで、その旨を伝えに婦女子のテントへ行った。僕は用事の関係上、すぐ引返して構外の事務所にいたが、ふと気がつくと、当の婦人を先頭に、五つになる女の子やお婆さんや、何と六人もゾロゾロと門から出ようとしている。私は「ア・ウーマン」といったのに、これでは「ア・グループ・オヴ・ウイメン・エンド・チルドレン」である。大きに話が違うので出かけて行き「お墓参りはあなた一人ではないのですか」と質ねると、「この人は赤坊が生れた時から知っているし、この人には病気の時親切にして貰ったし、この子は母親と一緒に行きたがって承知しないし……」