Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひとうとうこうき

比島投降記

石川 欣一

Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

というばかりで、すこしも考えようとしなかった。しかも彼は軍の通訳として比島に来る迄は、教会の牧師をしていたという。とんでもない牧師がいたものだと、まだ若いG中尉は、本気になって憤慨していた。僕は「死の行軍」については何も知らず、マニラがどんなになったかも見ていないから、あなたの言葉をそのまま信用するよりほかに道はない。焦土戦術―― Scorched-earth policy という英語を僕は胴忘れしていたが、「あの、退却する前に、敵に渡すよりは、よしんば味方のシヴィリアンを犠牲にしても……」と僕がいいかけると、G中尉は、「ああ、君は Scorched-earth のことを意味するのか」と、即座にいった――は、ナポレオンのロシア遠征の時にも行われ、中国ではしょっ中あった。ロシアは「顔は西を向き、心は東を向く」と昔からいわれているように、多分に東洋的な心理を持っている。すると、焦土戦術は、あなた方西欧人には理解出来ぬ東洋人の心理かも知れない。南京事件も僕は従軍したのではないから、何ともいえないが、あの頃は underdog であった中国への同情が、実際よりも大きく、米国への報道になったのであろうことも考えられる。