Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
戦争が終ったので軍艦も平時色に戻る。僕は何もすることがないので、ぶらぶらしていた。何かしましょうかといったのだが、B中尉は「君は本でも読んでいればいいのだ」といって取りあわなかった。僕は艦長の命令で、仕事を開始した時間と終了した時間とを控え、それを報告することだけしかしなかった。
LSTではよくしてくれた。Ten-in-one だけでも充分なのに米をくれたり、鰯や鯖の缶詰や――米軍の携行糧食には魚がまったく入っていない――濠洲製のクラフト・チーズや、時にはグレープ・フルーツ・ジュースの大缶をくれたりした。三十分に一回AR――という水夫長が銀皿にシガレットを入れて来て「休めよ」といった。すこし気をつめて仕事を続けると、誰かが、Take it easy ! と声をかけた。
使役兵の大将をしていた下士官は、とても真面目な人だった。ある時B中尉が「あの男には閉口する。何時、どこででも、僕が通ると飛び上って気を付けをする。窮屈で仕方がない。あんなことをしないように君からいってくれ」といった。日本の兵隊としてはありそうなことだ。僕がニヤニヤしていると、B中尉は「本当だよ、本当にそういってくれよ」