Japanische Klassiker mit Furigana
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ひとうとうこうき
比島投降記
石川 欣一
Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme
南の海
何という立派な、男らしい態度だろう。どうして、僕と何等かの交渉のある米国将兵は、こんなに善良な人ばかりなのだろう?――いまでも僕はそのことを考えている。僕は米国人が、百人が百人まで天使だとはいわない。現に勤務中に酔っぱらったMPだっている。事実ありのままを書いているので、何にも米国に頌徳表を奉ったり、お世辞をつかったりするのではない。だが、それにしても、何故、こう頭を下げざるを得ないような経験ばかりしたのだろう。僕だけが幸運だったのかしら? 考えねばならぬことが多い。多すぎて困ってしまう。
B中尉は翌朝、「昨日は本当に気の毒なことをした」といった。僕は「いいえ、いいんです。あのMPはニューギニアで親友か兄弟でも失ったのでしょう」と、考えたままをいった。B中尉は「それにしても彼はここでトラブルを起すビジネスは持っていない。戦争中は戦争中だ。いまは条件が違う。あんな大きな拳銃なんぞぶら下げて、ひどい奴だ」と、まだ怒っていた。
南の海
僕の乗っていたLSTと僚艦とは、マニラで水や食料を積込んだ上、東海岸のカシグランという所へ向うことになった。ルソン島の中北部で山の中へ逃げこんだ邦人のほとんど唯一の希望は、東海岸に出るということだった。