Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ひとうとうこうき

比島投降記

石川 欣一

Lesen Sie 比島投降記 (ひとうとうこうき) von 石川 欣一 (いしかわきんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 68.333 Zeichen · 134 Bildschirme

Aozora Bunko

海岸へ出れば塩水はある、魚もある、貝もある、食える海草もあるだろう。ロビンソン・クルーソーみたいな生活をしている内には、戦争も終るだろうと考えたものである。僕なども真面目にそんなことを考え、玉蜀黍から豆、さてはひでり草の種子まで準備した。実際問題としては、中部ルソンから東海岸へぬける路は、一本か二本しかなく、それがゲリラによって阻止されているとすれば、山越えをしなくてはならない。高い山は西海岸の方にあるが、山は低くとも猛烈なジャングルをくぐって、果して海岸まで行けるかどうか。また行ったところで、タヤバス州の中部から北は、断崖絶壁つづきで、人間の住むような場所があるのかどうか、分ったものではないが、とにかく「東海岸へ! 東海岸へ!」というのが、ひとつの流行言葉にさえなっていた。事実、東海岸への探検に向った隊もあるが、クマオ地区から出た隊は、僅か二キロ程行っただけで、どうにも動きがとれず、引返して来た。この附近のジャングルは、向うの見透しはきくのだが、とげの生えた蔓草が多く――竹も枝を出し、それにはとげがある――おまけにどこもかしこも同じようで、迷うにはもって来いである。