Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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えどまえのつり

江戸前の釣り

三遊亭 金馬

Lesen Sie 江戸前の釣り (えどまえのつり) von 三遊亭 金馬 (さんゆうていきんば) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.910 Zeichen · 214 Bildschirme

Aozora Bunko

冬のスキーでは有名な志賀高原も、夏のハイキングを兼ねてのイワナ釣りは、あまり紹介されていない。

神秘的な原始境といっても、山ガツは出てこないが山ガツに近い熊の湯の熊さんがいる。本名は佐藤正勝という。何だか太閤記十段目に出てきそうな名まえだが、いつも手ぬぐいを米屋かぶりにしている姿は、「熊さん」と呼びたくなる。

客の前でもおかまいなしに「失礼一ぱつ」と、毒ガスを放つこの人が、いつも道案内をしてくれる。

志賀高原から熊の湯のイワナは、なぜ誰にもたやすく釣れるのかというに、魚影もひじょうに豊富で、あまり荒らされていないからだ。攻め手が少ないので、のんびり育って、魚が人見知りをしない。まるではなし家みたいだ。魚がスレていないからウブである。これははなし家と反対だが、第一、場所がよい。温泉もあり、淵あり、瀞場、浅瀬、滝壺と川底にも変化がある。

ぼくみたいに六十の声を聞いてから久しいものには、足に自信がない。ましてやケガ人である。

土地の者のように、岩から岩へ転々と飛び歩くということはおっくうで、足もぬらさずに釣ろうという無精者には、もってこいだ。近ごろ流行の婦人釣り師にもよい。