Japanische Klassiker mit Furigana
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えどまえのつり
江戸前の釣り
三遊亭 金馬
Lesen Sie 江戸前の釣り (えどまえのつり) von 三遊亭 金馬 (さんゆうていきんば) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 106.910 Zeichen · 214 Bildschirme
機械のなかった手漕ぎ時代の舟は、朝は今より早く出て帰りが遅くなる。夕方父親を舟宿まで迎えに行くのも子供心に楽しみの一つであった。舟宿の内儀さんに連れられて河岸の桟橋へ出て待っていると、薄暗くなった大川を上手の舟が何艘も掛け声高く競走のように帰ってくる。「坊やあの後から来たのが家の舟だよ」といわれて伸び上がって見ると、駒止石の椎の木屋敷の方から二丁櫓で漕いでくる。見ると脇櫓につかまっているのは僕の親父だ。その頃の客は船頭の手代わり位は誰でもしたものらしい。舟が着くと寒いのに汗を拭きながら舟宿へ上がってくる。舟宿の土間で、自分の釣った魚を釣れなかった他の人にも平均に分けてやっていた。その頃は乗合舟の客でも自分が釣れなかった時は他の人の魚を分けて貰っていたものらしい。残った魚をビクに入れると、僕は自分が釣ったような気になって、そのビクを持って親父の先へ立って威張って家へ帰ってくる。帰って一杯呑みながらの咄も船頭の悪口が多かったように覚えている。母親が、
「そんなに悪くいうなら、舟宿を替えて他の船頭から出れば良いのに」とよくいっていたが、親父は「そういうもんじゃねえ、一度行ったらどんなに叱言があっても、他の舟宿からは出られないもんだ」