Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆしまもうで
湯島詣
泉 鏡花
Lesen Sie 湯島詣 (ゆしまもうで) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.004 Zeichen · 122 Bildschirme
」と言ったが障子の中に姿が消えた。
「へい難有う様でございます。」
度胆を抜かれて、茫然した仮色使は、慌てて見当を失ったか、かえって背後に立ったのに礼をいって、
「さあ、」
「おい。」
踵を廻らすのを見も返らず、女は身を斜にまた蹌踉けて、柳の下を抜けようとした。
門口で、
「蝶ちゃん、」
「はい、」
「お気を付けなさいよ。」
「才ちゃんかい。」
「お楽みだね。」
とひらりと乗る途端に楫棒を取った、腕車の上から、
「さようなら。」
「チャチャチャッチキチッチドンドン。」軽く柳の枝の垂れた尖を細く指で叩いて見せる。
「ふん、」とばかり腕車の上で。見ぬようにしてちょっと見ながら面を背ける、途端に車夫は曳き廻らした。暗夜の小路を看板は、これ流星のごとくに去んぬ。
「チャチャチャッチキチッチ、」と低く口吟みながら、格子戸をがらりと開けると、同時に框の障子を開いて、
「よくねえ、」と声を懸けて、逸早く今欄干に立顕れたその女中が出迎えた。帳場の灯と御神燈の影で、ここに美しく照らし出されたのは、下谷数寄屋町大和屋が分の蝶吉である。
着つけは濃いお納戸地に、金で乱菊を織出した繻珍と黒繻子の打合せの帯、滝縞のお召縮緬に勝色のかわり裏、同じ裾を二枚襲ねて、もみじに御所車の模様ある友染に、緋裏を取った対丈襦袢、これに、黒地に桔梗の花を、白で抜いた半襟なり