Japanische Klassiker mit Furigana
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ゆしまもうで
湯島詣
泉 鏡花
Lesen Sie 湯島詣 (ゆしまもうで) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 62.004 Zeichen · 122 Bildschirme
十五
」と段階子を見込んで笑う。
主婦はつかつかと前に出て、目をきょろつかして伺ってる飼犬を見上げながら、左の手を袖の中へ引込ませて、ちょいと出して、指をさすと電気を感じたようにくるりと廻って、小犬はちょろちょろと駈け上る。
「可けない!」
というが疾いか、段に片足を上げて両手を支く、裾を引いて、ばったり俯向に転った綺麗な体は、結えつけられたように階子に寝た。
「危い。」
「あれ、」とけたたましく諸声に叫ぶのを耳にも入れず、蝶吉はそのまま腕を伸して、
「不可ません、不可い、不可いよ、」と蹌踉ける足を引摺って、
「畜生、私より先へ行くッて法があるかい。」
「おいで。」
と膝を軽く拍って、振返ったのは梓である。
上口の処で、くるくる廻っていた飼犬は、呼ばれて猶予わず衝と飛込み、いきなり梓の袂に前足を掛けて、ひょいとその膝に乗って畏った。
「不可いッたら! あれ。」
十五
「失敬な奴ぢゃ、てッたような訳だわね、不都合だよ、いけすかない、何だ手前は、」ふらふらするのを踏こたえて、
「誰に断ったの、畜生、こっちへ来ないかい、打ってやるから、」と袖を飜して、手を挙げたが、そのまま立ってるさえ物憂げであった。