Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
指を蒐める家老
返辞を与えぬ代りに、玉枝は、さらに次の木箱の蓋を取り除けた。主水の顔は、見るまに、まっ蒼になって、
「? ……」
ごくと、生唾を嚥んだまま、その妙な、小さな物体に、驚きの目を奪られてしまった。
指を蒐める家老
やがて……
「父上」
「む」
郷左衛門も、余り、気味がよくはないように、小筥の中へじっと眼を落していた。
「こ、これやあ、父上、女の人さし指じゃございませんか」
「そうだ」
「斬ると、こんなに、爪の色が、鉄漿を塗ったように、真ッ黒になるものですか」
「そりゃ、日数が経ち、血の色が失せれば黒くもなろう」
「だって、こんなに黒いのは」
「何でもいい、そちの関わることではないから、気が済んだら次へ立て」
「でも、不思議だなあ」
「何が不思議?」
「父上は近頃、妙な物を蒐めることを道楽になさいますな」
「蒐める?」
「昨日も、相州の江の島から、江之島神社のお神札箱にはいった物が飛脚で着いたのでございましょう。するとすぐに父上は、その日のうちに、京都の為替問屋から、千両という大金を、何処かへお送りなすった様子。これや怪しからん、神社のお札一枚に、千両も払うわけはないがと、そっと、お留守に開けてみると、中は人を馬鹿にした木屑がいッぱい、なお変になってよく見ると、ちょうどこの小筥と同じくらいな密封した箱の中に、やはりこれと同じ女の指が入れ