Japanische Klassiker mit Furigana
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ろうごくのはなよめ
牢獄の花嫁
吉川 英治
Lesen Sie 牢獄の花嫁 (ろうごくのはなよめ) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.213 Zeichen · 325 Bildschirme
白紫陽花
泣きつつも、闘わざるべからず。
不孝の子
覆面の首領
老先生の眸は、いちどは、ぎょッとしたように竦んだけれど、すぐに、明朗に澄み返って、
「あはははは。まず、彼奴の悪智も、この程度ならば、底はおよそ測られる。――たわけた小細工」
と、はがし取って、細かに裂き破ったそれを、掌にまるめて、ぽんと、川へ投げ捨てた。
白紫陽花
夜半でも、眼を開いて、じいっと、天井を見つめていることがある――
「ああ、お苦しいことだろうなあ」
そうして老先生の胸のうちを察しると、舟辰の二階に、枕をならべている耀蔵も、熱いものが、眼じりにながれて、思わず、夜具の襟で、顔を掩ってしまった。
たちまちである。――あれから二十日の日はすぎた。奉行所で誓った百日の期間は、確実に、あと八十日に詰って来たわけである。
鶉坂の住居にも戻らず、用達にも出ず、毎日、黙々と、何事かを調べ、何事かを考えている老先生だった。たまたま、手拭をぶら下げて、町の風呂に出かける時には、侠気に富んでいる舟辰が、主人を守る番犬のように、必ず一緒についていた。
その老先生が、めずらしく、
「加山、ちょっと出かけて来るよ」
と、気軽に、壁の編笠をはずして言ったので、加山耀蔵は、眼を瞠った。