Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いなかきょうし

田舎教師 他一編

田山 花袋

Lesen Sie 田舎教師 他一編 (いなかきょうし) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 156.097 Zeichen · 312 Bildschirme

Aozora Bunko

ふと、路の角に来ると、大きな包みを背負って、古びた紺の脚絆に、埃で白くなった草鞋をはいて、さもつかれはてたというふうの旅人が、ひょっくり向こうの路から出て来て、「羽生の町へはまだよほどありますか」と問うた。

「もう、じきです、向こうに見える森がそうです」

旅人はかれと並んで歩きながら、なおいろいろなことをきいた。これから川越を通って八王子のほうへ行くのだという。なんでも遠いところから商売をしながらやって来たものらしい。そのことばには東北地方の訛があった。

「この近所に森という在郷がありますか」

「知りませんな」

「では高木というところは」

「聞いたようですけど……」

やはりよくは知らなかった。旅人は今夜は羽生の町の梅沢という旅店にとまるという。清三は町にはいるところで、旅店へ行く路を教えてやって、田圃の横路を右に別れた。見ていると、旅人はさながら疲れた鳥がねぐらを求めるように、てくてくと歩いて町へはいって行った。何故ともなく他郷という感が激しく胸をついて起こった。かれも旅人、われも同じく他郷の人! こう思うと、涙がホロホロと頬をつたって落ちた。

二十一

秋は日に日に深くなった。