Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
「ええ。汐干に一ぺんいったばかりです」
「ちっともおよげない?」
「ええ」
「それじゃ落ちるとかなづちだね」
「杉山さんに頼んでおきました」
「杉山なんかとてもあてにならない。なにしろ品川湾は日本三大急流の一つだからね」
「うそばかり」
「沖へ出ると酔うぜ。きっと」
「大丈夫でしょう」
「ゆれるからね。陸地でないと小用が出ないなんていうなよ」
「それは大丈夫です。この間ブランコに乗って稽古しました」
「おいおい、きたないことをしちゃ困るよ」
「ハッハハハハ」
と正三君も土曜の午後はかき入れだ。
「きみは釣り方を知っているかい?」
「存じません」
「一つ実物教授をしてやろうか?」
「どうするんです?」
「お池の鯉を釣るんだ」
「叱られましょう」
「なあに、見つからなければかまわない」
と照彦様はさっそく釣り竿をしのばせてきた。なるほど、つぎ竿だから目だたない。お学友はみみずをほって池のそばに待っていた。若様はそれを千切って釣り針につけた。
「きたないですな」
と正三君は感心しながら見学した。
「こういうものがチョコレートよりうまいんだから、魚なんてへんな奴さ」
「それをガブリと食うんですな?」