Japanische Klassiker mit Furigana
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くしんのがくゆう
苦心の学友
佐々木 邦
Lesen Sie 苦心の学友 (くしんのがくゆう) von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 162.732 Zeichen · 332 Bildschirme
なお新年早々お殿様のお目にかかったとき、特別にありがたいお言葉を頂戴した。
「内藤は今日からかな?」
「はあ」
「早々とご苦労だな」
「はあ」
「今年もたのむ」
「はあ」
「来年もたのむ」
「はあ」
「再来年もたのむ」
「はあ」
「ハッハハハ。はてしがないな。照彦は卒業次第英国へやるつもりだが、その時もたのむ」
「はあ」
「おくも私も若が一人ふえたと思っている」
とおっしゃって、お殿様は頭をなでてくだすったのである。若とは若様のことだ。正三君たるもの感激せざるを得ない。
照彦様は楽なことがおすきで、苦しいことがおきらいだ。これはだれでもそうだけれど、程度による。照彦様のはきょくたんだ、正三君は半年近くお学友をつとめて、ここに照彦様の弱点があるとさとった。たとえば二人ピンポンをやっていても、照彦様は落ちた玉を拾わない。
「落ちたよ」
とおっしゃる。正三君が拾って、また始める。
「また落ちた」
「はあ」
「そらそら」
「はあ」
と正三君は二人前働かなければならない。勝負がご自分の思い通りにゆく間、照彦様はいくらでもつづけるが、負けがこんでくると、ごきげんがわるい。苦しいことはおきらいだ。