Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうだ、気分は? 少しは落着いたか」

平次の調子は平凡で優しくさえありました。

「え、有難うございます。もう大丈夫です。先刻はあんまりびっくりしたんで」

お栄はそういいながら、まだ動悸の納まらぬらしい、胸のあたりを押えるのです。

「お前にきいたら分るだろうが、伯父さんの半兵衛は浪人者だということだが、何処の藩中だえ」

「それが私にはわからないんです」

「姪のお前にか?」

平次も少し詰問的になりました。お栄の調子は少し変り過ぎていたのです。

「でも、それにはわけがあるんです」

姪が伯父の素姓を知らないわけを、お栄はどう辻褄を合せる気でしょう。

「そのわけというのは?」

「私は、伯父さんの本当の姪じゃなかったんです、――恥を言わなきゃわかりませんが、私が物心ついた時は、親も兄弟もない、見世物小屋の親方に養われて居る孤児でした。遠い田舎で水呑み百姓の娘に生れて、食うに困って売られたものか、それとも、親の許さない不義悪戯の果てに出来た子で、里流れになって見世物の親方の手に渡ったか、それはわかりませんが、兎も角、物心ついてから十五、六まで、日本中を渡って歩く、旅の見世物師の小屋で育ち、いろいろの芸を仕込まれて舞台に立っておりました」