Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
そう言いながら八五郎の手から受取った提灯を差し寄せると、死骸の左二の腕の賽の目は紛れもなく筆で描いたもので、しかもツイ今しがたの細工らしく、着物に摺れて、生乾きの賽ころが、上の方の角が消えているのもバカバカしい限りです。
「畜生ッ、人をなめやがって」
八五郎は地だん太を踏みますが、そこにはもうそれに驚く鼠もいそうはありません。
「騒ぐな八、相手も追い詰められているのだ。一万両の小判をこっちに捲き上げられたので、こんな事でもして溜飲を下げなきゃ、諦めきれないんだろう」
「――」
「だが五郎八を殺したのはどういうわけだ」
銭形平次は死骸の前に高々と腕を組むのです。一万両の小判を平次の手に納めてしまえば、斑組の首領と五郎八との争いの原因はなくなるわけで、五郎八を殺した意味は、どう考えても解けそうもないのです。
「宇津の谷峠で奪った尾張様の御用金は一万二千両でしょう――するとまだ二千両残っているわけじゃありませんか」
八五郎はでっかい指などを折って見せます。
「一万二千両から一万両引いて二千両残るか。そいつは塵劫記にもない算盤だが、曲者同士が殺し合っているのは、そんなことではあるまいよ」