Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 157.440 Zeichen · 313 Bildschirme
炎の中に
「お前達はそこで死ぬんだ」
「あッ」
上から顔を出して、呪いの冷笑を浴びせたのは、かつての近江屋の小僧、定五郎のせがれの定吉のクリクリとした、可愛らしい――が、精悍な顔だったのです。
「定吉じゃないか、冗談をしちゃいけないよ」
お栄は下から姉らしい調子でたしなめます。
「チェッ、冗談? これが冗談かえ――おいらは先刻から耳を澄まして、二人の話はみんな聴いたよ――そして、おいらが今までお栄さんのオモチャになって、人まで殺す手伝いをしたことも、そのお栄さんが蔭ではおいらを鼻であしらって、その岡っ引野郎に夢中なことも――それからお栄さん、おいらの親父を宇八に殺させたのも、外ならぬお栄さんの指金だったということもわかったよ」
「まア、お前」
穴倉の出口を塞いで定吉の小さい顔が、復讐の喜びと、悪業の陶酔に輝くのです。
「おいらはそれを聴くと、ここへ三カ所から火をつけたよ、――もう何処かの半鐘も鳴っているぜ。鳶の者も駈けつけて来るだろうが、それまでには見事にこの家が焼け落ちて、穴倉の二匹のもぐらは宜いあんべえに蒸し殺されるぜ」
「お前、お待ちよ、定吉」
お栄は穴の口を仰いで精いっぱい呼びかけましたが、それもこの怪童定吉――十八になる奇形の偏執狂のゆがみにゆがんだ復讐心と、蛇のような嫉妬をなだめる由はありません。