Japanische Klassiker mit Furigana
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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme
諸書を照合してみても、武蔵が何処で父に死別したかは明確を得ないのであるが、どっちにしても、彼が十歳未満に歿していることはほぼ見当がつく。するとまだ乳くさいほんとの子どもの時だ。しかも彼は姉はあったらしいが、後名をつぐ大事な一粒だねでもある。
しかし、こんな史実的に価値のない話でも、こういう村の口碑が彼の死後百年ちかい後の記述にも筆にされる理由には、何か、内容とはべつな暗示を持っていると僕は思う。そういう点でこの話は価値がある、それは何かというと、武蔵の幼少時の家庭の空気が、決して少年の肌を温かに養っているものでなかったということである。そうした家庭的欠陥は、彼のそばに母がなかったらしい所からでも実証される。
武蔵の母という人は、播州領の佐用郡平福村の別所家から嫁いで来て、後に離別になって田住政久という者へ再婚した率子というのがそれであるという説と。――また、今大野村に墓のある於政というのがそうだという説とがある。
なお、於政は後家であって、武蔵はそのために、幼少から播州と作州の実家との両方に往き来していたのだというような記述もあるが、穿ちすぎていると思う。