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Japanische Klassiker mit Furigana

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ずいひつ みやもとむさし

随筆 宮本武蔵

吉川 英治

Lesen Sie 随筆 宮本武蔵 (ずいひつ みやもとむさし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 141.786 Zeichen · 278 Bildschirme

Aozora Bunko

樹語石心

樹語石心

正保二年の二月頃から武蔵は病床についた。そして新緑の四月頃、もういけないと自覚すると、彼は恩顧になった人々や友人に遺物分けなどして、残る思いもなく、別離を告げている。その中には春山もあった。春山へは日頃のよしみに、送葬の事を依頼したであろう。葬儀は藩葬とされて、国主の名代も立ち家中の諸士も列し、漂泊流寓の一剣士としては、未曾有の盛儀の下に行われたが、その折、法要万事は大淵がさしずしたが、引導の役は、弟子の春山が執った。

現今、泰勝院での馬場筋とよぶ所に、引導石というのが残っている。春山が引導を渡す時、武蔵の柩を、その石の上にのせて式を執り行ったというのである。

なぜ本堂の霊壇で引導の式をやらなかったであろうか。引導とあるからには本堂で大淵がやって、また、寺内の石上で春山が二度も重ねてするわけはない。私はこの話は非常にふかい意味を持っているのではないかと思う。遺跡文献の甚だ乏しい武蔵の伝記検討には、こんな一些事に見える事がらでも、古人の胸底をさぐる秘鍵として、私には簡単に看過することができないのである。

樹下石上は、武蔵の生涯の席であった。