Japanische Klassiker mit Furigana
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せいねんのしさくのために
青年の思索のために
下村 湖人
Lesen Sie 青年の思索のために (せいねんのしさくのために) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.550 Zeichen · 203 Bildschirme
五
五
帰りがけの船中で、前田君と二三問答を試みた。
「今では、お父さんも、賛成していてくれるだろうね。」
「うまく出来ている、とはいってくれますが、今のところ、ちっとも金になりませんので……。」
「君んとこの船に取付けて、うんと蛸をとったらいいじゃないか。お父さんも、それならもう賛成するだろう。」
「父は自分の船をもって居りません。今では百姓の方をおもにやっています。」
前田君の顔は少し曇った。わたくしは話題を転じて、
「これまでに、すべてで何台ぐらい製作したかね。」
「たった八台です。」
「特許はどうなっている。手続はもうしてあるんだろうね。」
「それにも、いくらか金がかかるそうで、……願い出ることにはしていますが……」
「うむ…・で、これまでに研究に使った金がどのくらいになるかね。」
「百五十円ぐらいでしょう。」
「みんな自分で働いて、それを得たんだそうじゃないか。」
「ええ、おりおり炭坑に行きまして。」
「えらかったろうね。……で、これからも、こうした研究をつづけるつもりかね。」
「ええ、今度のをもっと沢山使ってもらって、いくらかでも収入があれば、いろいろやって見たいと思っています。