Japanische Klassiker mit Furigana
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せいねんのしさくのために
青年の思索のために
下村 湖人
Lesen Sie 青年の思索のために (せいねんのしさくのために) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 102.550 Zeichen · 203 Bildschirme
夜中に一人で水だまりの前に立って、こんな仕草をしているところを誰かに見られたら、私はきっと気が狂ったと思われたでしょう。実際その瞬間は、すまないことですが、私は父の病気のこともすっかり忘れてしまっていたのです―。
で、私のその時の思いつきですが、それは、あとで考えると、何でもないことで、実は妙案などというほど大げさなものではありませんでした。つまり、米を入れる筒の部分を、固定した一つの筒にしないで、半円筒を二つ抱き合せたものにし、米がぼうちょうするにつれて、その内部の空間が自然にひろがるようにするだけのことなのです。こんな簡単なことを、どうして考えても考えても思いつかなかったのかと、今から思うとふしぎなくらいです。しかし、もしあの時、私が月影がゆれるのを見なかったとしたら、やはり今でも思いついていないかも知れません。そう思うと、これは私の発明というよりは偶然の賜物といった方が適当です。考えようでは、父の病気が私にこの発明を完成させたといってもいいでしょう。もし私が父の看護をしていなかったら、わざわざあんな夜中に外の空気を吸いに出ることもなかったろうし、外に出なかったら、水だまりの月影を見るようなこともなかったでしょうから。