Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
Luino 行きは、隣りの村のイタリヤ側から出るんだった。車のあとにくっついて、例の小橋にやって来ると、今度は兵隊さんに呼びとめられた、そこで往来の真中で、税関の検査がはじまるわけなんだが、大した荷物でもないので、御目こぼしにあずかった。さっきは気がつかなかったが、湖水に沿うて、小っぽけな停車場がある、ここから汽船がルガノへ行くと見えて、立て札の杭に太い曳き綱が捲きつけてある。どこからとなくピアノが聞えるが、いくらイタリヤだって、停車場でピアノを弾く奴もないもんだと思って、待合室をのぞき込むと、板敷の真ン中にスタンドピアノを据えて、一生懸命で調律している奴がある。なる程イタリヤだなあと感心して中に入ると、駅長殿をはじめとして、電車を待ってる連中が、輪になって見物しているんだ。室は湖に行きぬけで、水際には舟つきの太い棒杭がつっ立っている。周りの壁には、広告のビラがかけられて、ブリュッセルの大博覧会としてあるから、変だと思ってよく見ると、千九百十一年としてある、この調子ではぶらさがってる時間表だって、何年前のか知れたものではない。果して三時は過ぎてしまった、三十分ばかりたつと、ころころっと可愛いらしい物音がして、何がやって来るのかと思ったら、おもちゃ箱みたいな汽車だった、しかもおもちゃにしては薄きたない。