Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme

Aozora Bunko

島国の名物と云うは、年中じめじめ湿っぽくって、黴っ臭い畳表でも云うんだろう、写真の鏡玉に黴が生えたのと、二度レウマチにかかったんで、国の陽気にすっかり愛想がつきた。第一考えてもわかる。上着は一といろで沢山な筈だのに、夏服に、冬服に、間服なんて馬鹿なものまで必要な国が、気候のいい訳がありよう筈がない。この辺で夏の盛りに、や、どうも暑いですなアと云う意味は、日向で余り働くと、汗が滲みますよって注意なので、あんまり働かない連中は、てんで汗なんか知らずに済む。麻の一重で尻までまくって、おまけに扇子とハンケチをちゃんぽんに使って、それでもだくだく汗が流れるような篦棒な暑中や、夜具みたいに綿の入った着物を何枚もしょい込んで、それでもがたがた胴ぶるいをしながら、水っ鼻をすすり込む寒中が島国的気候なら、大陸的の方がよっぽどしのぎよさそうだ。無論日本のようなサンマー・ハウスとは設備も大分異うし、山に近く住んでるときと、平原や海岸に、うろうろしている時とは、ものの感じ方も、相違のあるのはあたり前だが、北イタリヤからスウィスへかけては、黴っ臭い風に障子の紙がたるんで、ぼとりぼとりっと、破れ三味線みたいな、変てこな音をたてる陽気は、まずまずあんまり出会さないと云うことだ。