Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme

Aozora Bunko

ベラージオの町は、岬のとっさきに建てられて、坂路の石を敷きつめた小路に沿うた白壁の家が、碧りの水と、蒼空と、それを囲む遠山の、スウィスの雪に対いあう。そして町のそこここには、アベーテやチプレッソがまっくろに茂って、会堂の鐘の音も、その木立の中から、湖上に遠く鳴り渡る。

朝のうちは庭づたいに、ヴィルラ・セルベロニの花園を歩きまわる。リヴィストナなども、露地に茂っているくらいだし、四月なかばに藤が盛りだから、東京よりは温かいには相違ないが、冬の頃は、近くの山に、今でもまっ白に雪が残るくらい降るのだから、こう云う樹木はあるにしても、そう大して暖かいとは思われない、ただ日本のように空気が湿ってないから、暑さ寒さが温度ほど、人間の身体に感じないだけだ。何ぞと云うと、日本は気候がいい、陽気がいいって騒ぎたてて、小学校の教科書にまでもやれ暖流がどうで、島国的気候だからどうだとか、いやに世間見ずの自慢ばっかりするけれど、なる程、大陸的気候でも、蒙古や満洲辺に比べたら、いくらかましかも知れないが、夏のじとじとする蒸し暑さと、寒い中のぴゅうぴゅう吹く空っ風を考えると、所謂大陸気候と、どれ程の差があるのか見当がつかない。