Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
ボールのガイドブックは日本から遥る遥る持ち廻って、バルカン半島をのぞいて全欧洲は云うに及ばず、北アフリカの旅行でも、泊り泊りのホテルの寝台で、暇さえあれば繰りかえして、もう日本へ送り返してしまったから、更めて買う用はなし、本場とは云うものの、思ったより登山案内はないものだ。
扨て、本をかかえて四つ角を左に曲ると、宿のモン・ビジュー Mon Bijou、ファウストの歌にでもありそうな、ホテルの名前が気に入ったから、バーゼルから電報をかけて置いたが、取ってあった室も、小綺麗な角座敷で、気持がいい、何をしていたんだいって格構で、絵はがき用のスートケイスが、ポルティエは一時間も前に着いたそうで、室の真中にぽかんとしている。取りあえず、寝起きのままの顔を洗ってしっとりとした衣物を着かえると間もなく昼飯だ。
酒の上もあるし、汽車の疲れでぐっすり昼寝をする。何しろ、昨日の午後三時三十三分に伯林をたって、いくら急行だって、エヤフルトからフランクフルト・アム・マインと、トューリンゲンの森をぬけて、ラインガウを通って、エルザースを素通りにして、国境のバーゼルで一時間待たされて、オルテンを通り越して、さてこのベルンだから、十八時間の乗りづめでは、うっかりソーファに倚りかかっても、室がごろごろ動くような気がした。