Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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スウィスにっき

スウィス日記

辻村 伊助

Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme

Aozora Bunko

アヴァランシュ

私は二年後の今日、八月一日、この『山岳』の原稿を書きながら、まだ鼓動の高まるのを覚える。

この時、誰とも知らないが、わっ! というけたたましい叫び声を聞いた、どきっとして振りかえるとたんに、私と近藤君の間に、雪の塊が二間ばかり頭の方から、烟をあげて、湯滝のようにどっと崩れ落ちるのを認めた、が、それは一瞬間で、もうその時、私達はアヴァランシュの上に乗っていたのである、夢中で杖を打ち込んだまま足を下にして、非常な加速度をもって、うつむきになったなりで一直線に、雪の楯を辷って了った。その時、昔、針ノ木峠の残雪で、足を辷らして怪我をした時の有り様が、焼き画のように頭の中に渦まいたのを今も覚えておる、……と、急に腰に結んだロープがぐっと引っぱられて、目に見えない、ものの力に吸いとられたように、空を切ってもんどり打ったのも覚えている……、もう駄目だと観念した時に、ずしんとばかり、肩先からやけに雪の中に叩き込まれた。占めた! 助かった! と思うと同時に、また空を切って、私の身体はつぶてのようにほうり出された、その時夢中に握っていた杖が、何ものにかもぎ取られてしまったのを覚えている。