Japanische Klassiker mit Furigana
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スウィスにっき
スウィス日記
辻村 伊助
Lesen Sie スウィス日記 (スウィスにっき) von 辻村 伊助 (つじむらいすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 216.275 Zeichen · 410 Bildschirme
こういう人達が、期節に入った今頃はよくこの辺をうろうろするが、いずれも流行で山奥までまぐれ込んだ遊覧客である。見ると私はいつも平原の水流を想い起す。汐のさし引きで当てもなく曳かれてゆく塵あくた、犬猫の屍骸まで一所になって、ぶくりぶくり無気味な泡を立てながら、さすでも無く曳くでもなくただようて居る。それによく似た流行を趁う人の群だ、自分の趣味でも主張でもなく、人のあとにくっついてうろうろする、煩わしいが罪のない気の毒な人達だ。
パリジアンらしく眼のふちをぼかした女を抱くようにして、大それた、羚羊の角など飾りに付けた杖を得意げに振りながら、クールサールをうろついて、大通りで宝石――輸入品の――を冷やかして、べちゃくちゃ云いながら日を暮してしまう。アルプスの連嶺が雲の上に表われようが消えようが、ゼンマイ仕掛のような唇は動きつづけて止む時はない。彼等がスウィス人でないのはせめてもの心やりではあるが、いずれにしても余りいい気持はしない、恐らく諸君も不快な感じにいらだった眼をあげて、顔をそむけずにはいられまい、と、そこに君は何を見るだろう!
寛容な自然はこの人達をもさすがに見捨てずに、雪をかずいた連峰は漂々と霞の上から、君とそして彼等を見下ろしているではないか。