Japanische Klassiker mit Furigana
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
Lesen Sie 世界怪奇実話 (せかいかいきじつわ「じょぶん」) von 牧 逸馬 (まきいつま) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 251.305 Zeichen · 498 Bildschirme
非常に好い条件だからこれから直ぐ一緒に来ないかというのだ。カルトは三月四日まで現在の家に居る約束だったので、それ迄に考えて置こう。その時未だ空いていたら、改めて世話を頼もうと答えると、男は重ねて奨めもせず、失望したように首を振り乍ら立ち去って行ったが、こうしてカルトに断られたので、彼は代りにバダイユに当ってみたのだろう。そしてそれが成功したという訳なのだろう。
カルトのところへ来た男というのは、五十前後、何処から見ても田舎者の風俗、上口唇が瘤のように腫れ上って、おまけに其処に大きな創痕があったと言う。
この特徴を眼当てに、捜査は一時に活気付いた。
すると約束の三月四日、マリイ・カルトの方では忘れていたが、男は忘れない。のこのこ返事を聞きにやって来た。何時かの口はもう塞がっているが、他に、同じような条件で女中の世話を頼まれて来た。来る気があるなら、今から伴れて行ってやろう――男は、自分がお尋ね者になっていることなど知らない様子で、平気な顔だ。命拾いをした気でいたマリイ・カルトは、震え上ってしまった。これがもう少し頭の働く女なら、何とか釣って待たせて置いて、その間に警察へ人を走らせて難なく押えることも出来たろうが、何しろカルトは、怖ろしさが先に立って歯の根も合わない。