Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
豊次というその番頭がどこかで刷らせた用紙へ、でたらめな印判を捺したもので、気づかなかったのはこっちの手落ちだ。出るところへ出ても勘定は払って貰う、と播磨屋の主人は云っているそうであった。
「出るところへ出ようじゃないか」と彼は云った、「そんな人間を使っていたのは播磨屋の責任だ、ばかばかしい、どこへ出たってそんな理屈がとおるものか、――いったい金高はどのくらいになるんだ」
「たいしたことはないの」おかねは鼻の先へ垂れて来たほつれ毛をふうと吹いた、「たしか十二両とちょっとだったでしょ」
「十二両――」得石は息を吸った。
「出るところへ出るっていうけれど、本当にそうするつもりなら御自分でして下さいね、あたしは公事沙汰なんかいやですよ」
「私にやれって」彼はちょっと吃った、「だってこの店はおまえの名義でやってるんじゃないか、表むきの事で私が出るわけにはいかないよ」
「そんなことを知るもんですか」とおかねは鼻で笑った、「名義があたしだって、給銀もろくに貰えない女中同様で、おまけにからだまでおもちゃにされるんじゃないの、われながら自分のばかさかげんにあいそがつきるわ」