Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
「あたしお新ちゃんじゃありません、おはなですよ、旦那」
「済まなかった」千之助は忍耐して云った、「このおはなの眼に間違いがなかったにしても、これという動かぬ証拠がない」
「まあ、どうしてですか」おはなが憤然とくってかかった、「あたしという証人がちゃんといるのに、ほかに証拠が要るんですか」
「黙ってくれ、頼むからもう少し黙っていてくれ」千之助は哀願するようにおはなを見、それから与助に向かって続けた、「――つまり、そのほうにはわかるだろうが否応を云わせぬ証拠がなければ、むやみに人をお繩にはできない、そうだろう」
「御尤もでございます」
「そこで頼みがある」千之助はちょっと声をひそめた、「その女を隣り座敷で見たいんだ、あとから伴れが来るそうだが、その伴れとどうするか見ていたい、そのようすによってこっちの出かたをきめようと思う」
「わかりました」と云って与助はちょっと考えた、「では座敷を変えましょう、だが、――いや、こんなことはもうとっくに承知でございましょうが、変った好みの客の頼みで作った拵えですから、どうぞ御内聞に願います」
「念には及ばない」千之助は苦笑した、「おれはまだ知らないが、べつに珍らしいことでもないだろう」