Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ごべんのつばき

五瓣の椿

山本 周五郎

Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

六

「それは有難いが、本当だろうね」

「わかっちゃったんですもの、しようがないわ」とお倫が云った、「その代りわがままを仰しゃってはいやよ」

「わがままとは、どんな」と云って、清一は誇張した太息をついた、「今夜もおあずけというわけか、罪だよお倫さん」

お倫はながし眼で彼を見、彼の肩に手を掛けて、ものうげに立ちあがった。

「さ、まいりましょう」

六

危なかった。本当に危なかった、あたしの胸はまだこんなに強く動悸を打っているし、手を拳にしていないと、指はみじめなほどふるえる。でもこれは独りになってからのことだ。

門前仲町の「岡田」の女中が、どうしてあのうちにいたのだろう。この広いお江戸の中で茶屋奉公をしていれば、毎日大勢の客を扱っている筈だ。それをいちどしか会ったことのないあたしを、どうして覚えていたのだろうか、――尤も、客の顔を覚えるということは、あの女たちのしょうばいのうちかもしれないけれど。

青木千之助という人は、あたしをおりうだと見ぬいただろうか。それともあの人の言葉を信じて、疑いを解いただろうか、――どちらともわからない。すっかり疑いを解いたとも思えるが、そうではないかもしれない。