Japanische Klassiker mit Furigana
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ごべんのつばき
五瓣の椿
山本 周五郎
Lesen Sie 五瓣の椿 (ごべんのつばき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 149.721 Zeichen · 296 Bildschirme
第五話
一
「倉橋」と彼は手紙を巻きながら書役に云った、「見取り図を描いてくれ」
第五話
一
「およねさんは盃も取らないじゃないか」と源次郎が云った、「たまには一つくらいつきあってもいいだろう」
「あたし酔うとうるさいのよ」
「いいね、うるさいの結構」源次郎は燗徳利を持った、「おまえが酔ってうるさくなったらさぞ色っぽいだろう、遠慮はいらないから一つあげよう」
およねは羞み笑いをし、しなをつくって盃を取ったが、酌をされると、その盃を持ったまま眼の隅で庭のほうを見、すぐにまた源次郎を見た。――男は日本橋よろず町の袋物問屋「丸梅」の主人で源次郎。年はちょうど四十だというが、ようすはずっと若く、多くつもっても三十五歳より上にはみえなかった。
「どうしようかしら」とおよねは云った、「あなたは女ぐせが悪いという話だし、まだ気ごころもよくわかっていないんですもの、酔ったあとが心配だわね」
「気ごころが知れないって、冗談じゃない、それはこっちの云うことだぜ」源次郎は手酌で飲んだ、「初めて逢ったのが森田座の夏芝居だろう」
「秋ですよ、七月だもの、それも、――女のあたしからさそいかけるようになすったのよ、憎らしいと云うよりもこわい方だわ」