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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶっきょうじんせいとくほん

仏教人生読本

岡本 かの子

Lesen Sie 仏教人生読本 (ぶっきょうじんせいとくほん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 124.886 Zeichen · 246 Bildschirme

Aozora Bunko

折角、自分は善良な慈悲心でしているつもりのことが、利己主義の慈悲心になっては残念です。

トルストイの作品のうちにあった例だと思います、何の職業をしている人だったか忘れましたが、とにかく慈悲を心がけて暮しているある男がありました。ある冬の夜、非常に天候が荒れ(あるいは雪の夜だったかもしれません)ました。慈悲深い男は、家外の寒さを思いやりながら室内のストーヴの火に暖を採り、椅子にふかぶかと身を埋めて静かに読書しておりました。と、家外の吹雪の中に一人のヴァイオリン弾きの老爺の乞食が立ち、やがてそれは寒さのために縮んで主人の室の硝子扉に貼りつくように体を寄せました。主人はもとより慈悲の心で生きている人です。しばらくヴァイオリン弾きの乞食姿をあわれと思って見ておりましたが、やがて意を決して硝子扉を開けました。主人はそして、ひたすら恐縮するヴァイオリン弾きを室内へ招じ、暖かい喰べものを与え、ストーヴの火をどんどん焚き足して長時間吹雪のなかにさすらってこごえて来た乞食の老爺の体をあたためてやりました。

翌日、その翌日となり雪は晴れ道もよくなりました。ヴァイオリン弾きの老爺はしきりに主人の邸内から辞してまたさすらいの旅に出ようとしました。