Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとこじふうぶつし
大和古寺風物誌
亀井 勝一郎
Lesen Sie 大和古寺風物誌 (やまとこじふうぶつし) von 亀井 勝一郎 (かめいかついちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 108.647 Zeichen · 215 Bildschirme
玄関までの玉砂利も綺麗に掃き清められて、尼寺にふさわしく、楚々たる感じにあふれていた。
玄関の呼鈴を押すと、ずっと奥の方から娘らしい可憐な声がつたわってきた。暫く待っていたけれどなかなか出てこない。耳をすますと、ずっと奥の方で鈴をふるような音が聞えるので、勤行の最中でもあろうかと思ったが、それは中宮寺の後の野辺から立ちのぼって頭上はるかに囀っている雲雀の声であった。空高くかすかに鈴を振るような啼き声をきいていると、ふと童話の国へ来たように思う。やがて十六・七のずんぐり太った尼僧があらわれ、脇のくぐり戸をあけて本堂の方へ導いてくれた。白砂を敷きつめた堂前の庭は、春の光りを一杯に吸って美しく輝いていた。冷酷なほどの静けさのなかに、木蓮の花が白く咲き乱れている。私ははじめて有名な如意輪観音の思惟の御姿をみたのであった。
深い瞑想の姿である。半眼の眼差は夢みるように前方にむけられていた。稍々うつむき加減に腰かけて右足を左の膝の上にのせ、更にそれをしずかに抑えるごとく左手がその上におかれているが、このきっちりと締った安定感が我々の心を一挙に鎮めてくれる。厳しい法則を柔かい線で表現した技巧の見事さにも驚いた。