Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠1
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠1 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 200.314 Zeichen · 398 Bildschirme
「坊や、みんな母さんが悪かったのだよ」
こう言って涙をハラハラと郁太郎の面に落しました。
医者も竜之助もまだ来る様子はないのに、お浜はしかと郁太郎を抱えたなり、その窓際に立ちつくしているのでありました。
九
昨夜の騒ぎで机竜之助は少し寝過ごしていると、
「あなた、あなた」
枕許を揺り動かすのはお浜の声。
頭を上げて見ると、日はカンカンとして障子にうつる老梅の影。
「こんなお手紙が」
「ナニ、手紙が……」
竜之助、何心なく受取って見ると意外にも逆封。
「これは――」
やや驚いて、表を読んでみると「机竜之助殿」、裏を返せば「宇津木兵馬」。
竜之助は勃然として半身を起し、封を切って読むと、
「貴殿に対して遺恨あり、武道の習にて果合致度、明朝七ツ時、赤羽橋辻まで御越あり度」
「うむ、小癪な果し状」
竜之助は手紙をポンと投げ出して、夜具を蹴って起き直りました。
「坊やはどうじゃ」
「よく寝ておりまする」
竜之助はお浜の抱いている郁太郎の面をのぞき込み、
「医者の申すには、一時物に怖えたので、格別のこともないそうな」
起きて面を洗い食事を済ましてから、
「浜、坊やをこれへお貸し」